マヨネーズ中のCoxiella burnetii 検査法の検討


○貞升健志、新開敬行、金子誠二、
平井昭彦、仲真晶子、石崎直人、小田桐 恵、甲斐明美、
村田以和夫、諸角 聖(東京都健康安全研究センター・微生物部)


【はじめに】
本邦で飼育されている鶏でCoxiella burnetii 抗体を保有する個体の存在が報告されて以来、鶏卵およびその加工食品についても安全確認が求められている。
しかしながら、鶏卵およびその加工食品中のCoxiella burnetii の検査法は確立されていない。今回、鶏卵加工食品であるマヨネーズからのCoxiella burnetii 検査法を検討したので、
その結果について報告する。

【材料と方法】


 

市販マヨネーズ100gにCoxiella burnetii (ninemileU相菌株)1×個を接種し十分に攪拌後、リン酸緩衝液(PBS)を加え静置した。



  分液ロートを用いて、PBS層(P1)を回収した後、-80℃にて2晩凍結後融解し、油層(O液)、中間層、PBS層(P2)の3分画を得た。


 

中間層について、PBSを再度加え振とう後、PBS層(P3〜P6)を回収する操作を計4回繰り返した。



  回収したP1〜P6 のPBS分画とO液をそれぞれ10,000rpm、60分遠心し、沈査よりCoxiella burnetii DNAを抽出した。


  このDNA量をrealtime-PCR法により測定し、各分画における回収量を比較した。

また、この方法を用いて都内流通のマヨネーズ製品(15社50製品)の検査を実施した。

【結果】
マヨネーズとリン酸緩衝液を攪拌・静置後得られたPBS層 (P1)中のCoxiella burnetii DNA量は極めて低かったことから、凍結融解により乳化を壊し、得られた中間層にPBSを加え抽出を行った。その結果、P3とP4分画で最も高い値が認められた。
本法における回収率は全卵を使用したマヨネーズでは70%、卵黄を使用したものでは30%であった。また、検出感度は個/100gであった。本法を応用し、 市販マヨネーズ15社50製品を検査した結果、すべてCoxiella burnetii DNAは陰性であった。




市販牛乳中のCoxiella burnetii 汚染状況および鶏卵中のC.burnetii 検査法の検討


○平井昭彦、金子誠ニ、仲真昌子、石崎直人、
小田桐 恵、 甲斐明美、貞升健志、新開敬行、
村田以和夫 、諸角 聖 (東京都健康安全研究センター・微生物部)


【目的】
Q熱病原体であるCoxiella burnetii のヒトへの感染経路は主として経気道感染といわれているが、生乳や鶏卵などの畜産食品のC.burnetii 汚染については明確にされていない。乳中のC.burnetii 検査法については長岡らの報告があるが、 鶏卵の検査法については確立されていない。今回われわれは、市販牛乳の汚染状況調査と併せて鶏卵中のC.burnetii 検査法を検討したので、報告する。

【方法】



  市販牛乳244検体を対象に長岡らの検査法により調べた。


  鶏卵の検査法は乳の検査法をもとに検討した。


  鶏卵は多量のタンパク質や脂質を含有するためこれを除去し、集菌可能な方法を検討した。


  卵黄にNaCl加PBSを等量加えホモジナイズ後遠心操作すると、NaCl濃度が1Mのとき卵黄成分の沈殿量が最少となるため、この方法を採用 した。


  遠心沈渣をSDS、proteinase Kで消化後Nal法で抽出したDNAについて、com1 遺伝子をターゲットとしたnested PCRをおこなった。


  PCR陽性検体は、免疫抑制状態を維持したA/J系マウスを用いて、C.burnetii 分離を試みた。


  検討した方法を用い市販鶏卵200検体を調べた。

 【結果及び考察】
牛乳131検体(53.7%)からnested PCR法でC.burnetii 遺伝子が検出された。
このうち低温殺菌の20検体についてC.burnetii 分離を試みたが、全て陰性であった。
今回検討した鶏卵のC.burnetii 検出感度は個/卵黄10gであったが、市販鶏卵200検体からC.burnetii は検出されなかった。